九州絶佳選
佐賀
祐徳稲荷神社−鹿島市−
 祐徳稲荷神社は、経ヶ岳(標高1075b)の尾根が北に延び、平地に接する辺りに鎮座する。参道に沿って土産物を売る店が建ち並び、その多さ加減からこの社が県下のみならず広く参詣者をあつめる特別の社であることを思わせる。太鼓橋を渡り楼門を潜ると正面に神楽殿、その周りを廻廊がめぐり境内右手の高所に本殿を組み、社殿の軒廻りや壁面などを極彩色の漆塗りの絵模様で飾られた社は「鎮西の日光」をほしいままにし、伏見稲荷等とともに日本三大稲荷と賞せられる。肥前路に、茂吉にして「我等詣でたり」といわしめた感動を境内に映す社である。
 祐徳稲荷神社は、貞享4年(1687年)、第三代肥前鹿島藩主鍋島直朝のもとへ輿入れした花山院萬子媛が朝廷の勅願所であった稲荷大神の分霊を勧請したもの。萬子媛の下向は数奇な境涯としても人々の関心を誘ったことであろう。 −平成18年2月−