富山ノートNO6
神通川の鮭漁(富山市)
 富山市内の護国神社の裏手を神通川が流れる。早朝、川面に二艘の川舟が見える。鮭漁の川舟であるらしい。二艘の舟が一張の立て網の両端を棒先に結わえ、水中に網をくぐらせ下っている。水流を利用したトロール漁のようなもの。鮭漁は神通川の晩秋の風物詩である。もっとも近年、職漁師の高齢化などによって漁もあまり見かけなくなったが、人と川との関わりを知るよい伝統なのだが・・・。−平成13年11月−

神通川鮭漁
寺家公園(大沢野町船峅))
寺家公園 富山市の南方、大沢野町船峅に寺家公園(じけこうえん)がある。
 公園の裏山に西国三十三箇所の札所があって、きちんと御詠歌が献じてある。小春日和が心地よい。紅葉踏み分け参道をゆくと、子供会のハイキングがあるらしく所々に飴玉の入った籠が置いてある。「小さい秋みつけた・・」と、添え書きが籠に入れてある。
 巡拝後「風の城」を巡り「御前山」に登山。標高559メートル。さほど高い山ではないが、富山平野が一望できる。かつて頂上に「雄山神社」が鎮座したと伝えられ、立山信仰と深い関わりのある山であった。−平成13年11月−
東福寺野(滑川市)
 国道8号線から滑川市安田の在所を抜け、だらだらとした傾斜のきつい台地を登ると東福寺野自然公園に至る。晩秋の空に紅葉が燃えている。眼下に、富山湾の海岸線を飾る滑川、魚津の市街が、秋の柔らかい陽射しを浴び輝いている。
 越中の海岸線は、概して海と山との間隔が短くかつ山が高く隆起していて、少し山手に入るとどこからでも平野や市街地を望むことができる。東福寺野は高からず低からずぼどよいところにある。越中の眺望絶佳のひとところであろう。 −平成13年月11月−
田尻池NO2(富山市)
 富山市内に「田尻池(たじりいけ)」という水鳥が飛来する池がある。秋口から何度か通った池である。
 オオハクチョウ、コハクチョウ、オナガカモ、キンクロハジロ、ホシハジロなど種類も多い。小さな池はカモであふれんばかりである。池にパンくずが投げ入れられると、小突きあいあるいは逃げまどうカモの鳴き声が谷筋に響いて聞こえる。棲息過多の小さな池はストレスで満ち溢れているようだ。−平成13年12月−

放生津・東橋(新湊市)
堀岡フェリー 東橋
 新湊市の「堀岡」からフェリーに乗ると、4、5分で対岸の越ノ潟の船着場に到着する。
 放生津(ほうじょうづ)の水路に架かる「東橋」は、スペイン人のセザール・ホルテラの設計により10年ほど前に竣工した橋である。
東橋は、家持歌の故地・奈呉ノ浦に通じる小さな水路に架けられ、橋の両端はタワーになっていて、内部にはベンチが設けられている。水路におちる柔らかい陽射しを浴びて、ときおり小船が往き、南欧の雰囲気がある。ここには、万葉の故地にポッカリと穴があいたような不思議な空間が広がっている。
 放生津はまた一時期、足利政権の指揮処ともなった。足利幕府第十代将軍義材(義稙)が臥薪嘗胆、正光寺に座し越中政権ともいうべき権力を保持し、やがて上洛を果たしたのである。
 日本海は古代のハイウエーだった。船の機動力が人の移動や情報伝達の手段としても重要であり、権力奪取におおいに有効であったのであろう。越中は地の利にも優れていたのである。−平成13年12月−
東橋

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