若狭ノート
泊−福井県小浜市泊
泊漁港  若狭湾の副湾小浜湾を囲むようにその東西に半島が延びる。西側の半島が大島半島、東側の半島を内外海(うちとみ)半島と呼ぶ。
 リアス式の半島周りは奇岩奇勝に富みかつ細長く狭い半島に数百メートル級の山岳が重畳をなし、山を背負った浦々にささやかな漁港がひらけている。独特の半島の地勢はまた、丹後半島や能登半島に共通する絵画的でたおやかな雰囲気がある。
 冬の日、内外海半島を行くと浜辺にカモが群れ、青く澄んだ湾奥に泊という集落がある。浜辺の船小屋が冬の日を浴びている。
 泊集落のはずれに「韓国船救護の碑」が建つ。明治33年1月、ウラジオストクを出向し韓国の明川沙浦に向かう途中、遭難した韓国船の乗組員93名が泊の住民によって救助された海難の記念碑である。地区の住民総出で乗組員の救護に当たり、1週間後、乗組員は船小屋前から出港し母国に帰還した。海に生きる者の絆は強い。遭難する者がおれば国籍を問わず救助し、暖を取らせ食事を与える。乗組員が帰国する日、乗組員や乗員は互いに涙を浮かべ、ともに袖を絞るほど泣いたという。 −平成24年1月
泊(中央は船小屋)
カモ バン
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