沙弥島−坂出市−
沙弥島の島周りは概して険しく、断崖下の赤茶け或いは白く濁った花崗岩の大岩に波がはじけている。島の高みから四方を眺めると、東に五色台、西に大麻山、善通寺五峰の山容が青く澄み、、遠く南方に阿讃の山脈が天空に影をうつしている。
 沙弥島は、古代に讃岐の中心都市として栄えた坂出の目と鼻の先にある。讃岐に旅する人々のいわばパラダイスとして保養などの名所にもなっていたのではないだろうか。島内の展望のよい鼻に、子供のものと思われる小さな竪穴式石室が露出した古墳がある。富裕の旅人が、旅の途中で夭折した子供を弔ったものであろうか。
  沙弥島(写真上下)はいま、番の州の埋め立てによって坂出本土と連なった。面前に瀬戸大橋が架かり、斜張橋が迫る少し趣の異なった島になった。人麿もやはり、「見れどあかぬ神柄か」と詠じるであろうか。瀬戸大橋開通を記念して島に「万葉樹木園」が整備されている。