オンツツジ−西予市−
 4月はツツジの季節。宇和海に望む山道を往くのも楽しいものだ。4月は清見、ニューサマーオレンジなどミカンの収穫の季節。コンテナーを満載した軽トラがらせん状の山腹を降って行く。
 4、5メートルもあろうか、ウバメガシの樹冠の上で朱赤の花が咲いている。オンツツジだろう。枝の先に三枚の大きく丸い葉が輪生している。ミツバツツジの系統の花と思われるが葉と花が一緒に出て、花もずいぶん大きくく5、6センチはあるだろう。風にそよぐ薄い葉の上でふわふわと揺れている。傍らで、低木のメンツツジ(フジツツジ)が咲いている。男性的なオンツツジに対比した古人の命名であろう。葉のありようはオンツツジと非常によく似ている。
 その分布は四国では断然、オンツツジが勝っている。オンツツジは徳島の高越山(吉野川市)のものが有名である。近年、公園化されツツジの観賞にも便宜が図られているようである。

 オンツツジはだいたい紀伊半島以西に分布する樹木。関西のヤマツツジはガクヘン5枚、オシベ5本の全体に似たようなツツジ(写真下)。しかし、葉が楕円乃至細長く、幾分小さく互生して、輪生ではない。フジツツジもまた同様である。この地方ではフジツツジを庭の植え込みに使う風がある。−平成26年4月−
ヤマツツジ(京都府綾部市)