オニユリ(鬼百合) −西予市三瓶町−
鬼百合の まことしからぬ 赤さかな(秋之坊)    
 サユリ(笹百合)、サユリ(早百合)、ヒメユリ(姫百合)、ヤマユリ(山百合)、クルマユリ(車百合)など日本産のユリは多い。カサブランカやオリエンタルリリーのような派手さはないが、山の端や山道、畑の傍で咲き、蒸し暑い日本の夏に清涼感を与えてくれる花だ。
 日本のユリの中には、テッポウユリ(鉄砲百合)のように栽培が容易で観賞用として人気のあるユリがある。近年ではそれが大いに繁殖し、道路傍で群落をなしていたりする。ササユリのように栽培の難しいユリは乱獲が繰り返され、また山の端の芝刈りなどが行われなくなり、次第にその数を減らし、もはや幻の花になりつつあるユリもある。
オニユリ
オニユリとクロアゲハ
 南予ではオニユリはゴーロと呼ばれる。花は黄赤色、おしべが花外に出て大きなやくのある姿は特異。ぎらぎらと太陽が照りつける炎天下でもしおれることはない。クロアゲハチョウが群がり一瞬、ヒガンバナのそれと錯覚する風景に出くわすことがある。山中の田の畦や河岸、海浜と所を選ばずこの花は生息する。
 夏の日の早朝、南予の海岸端でオニユリが咲いている。下泊の国道378号線わきの小道から崖地を下り磯に出る途中、岩場の斜面や波打ち際の窪みに20株ほどのオニユリが咲いている。朝露を含んで美しい。オニユリは南予の夏によく似合う。−平成23年7月−