陣の丸高原―綾歌郡綾歌町富熊―
綾歌町 竜王山山麓から  讃岐富士(飯野山)の東に、起伏のある丘陵地帯が南北に連なっている。その北端に城山(標高462メートル)、南に大高見峰(標高504メートル)を配し、やがて阿讃山脈に溶けあう山襞に讃岐太郎・満濃池が満々と水を蓄えている。陣の丸高原は、城山と大高見峰の中ほどに位置する標高100メートルほどの丘陵地帯である。綾歌町富熊の奥川内地区にある。
  「富熊」は、「富隈」に通じ、丘陵が重なりあいクマ(山陰)が豊かな地域というほどの意味が地名に込められているのだろう。高原に立つと、竜王山(写真右上)、その西に張り出した陣の丸丘陵などの丘陵が裾野にクマをつくり田地が開けている。
  新緑の頃、竜王山から眺める讃岐富士は秀逸である。昨年、地元の人々の善意によって頂上まで遊歩道が整備された。飯野山や遠く瀬戸内海の絶景が展望できる。
山麓の道端に田中宏昌氏の歌碑が建つ。

”瀬戸よりの風ありて澄む讃岐富士”
  竜王山は、水の神・竜神が住む山。竜神講が組織され、旱魃が襲来すると、今もなお雨乞いの祭祀が行われる山である。水田はもちろん富熊の一帯は畑地も多い。畑地の灌水は水田よりはるかに骨の折れる作業が伴う。人々の水への願いは、終いのない竜神への願いとしてこの地域の人々の生活に根付いているのだろう。

  10人ほどの集団が陣の丸古墳公園に向かっている。伺うと、地元の小学生(2年生)の遠足とのこと。100メートルほどの小さな尾根に、方墳1基を中に挟みその左右に全長30メートルほどの前方後円墳が2基、向かい合って築造されている。他県でこのような古墳が発見されると町のちょとした話題になるが、讃岐ではごく見慣れた風景。さりげない丘陵に、さりげなく古墳がある。古墳の丘は子供たちの情操も育む丘。ここにも、讃岐らしくていい風景がある。-平成16年6月-
陣の丸古墳
陣の丸古墳公園
陣の丸高原
陣の丸高原