大杉−大豊町−
八坂神社の大杉  高知県の大豊町に大杉というところがある。JRの駅名から小・中学校の名称に至るまで、大杉の名が付く大杉一色の町である。
  その大杉は、国道32号線に近い八坂神社の境内にある。二株あるが根元で合着した兄弟杉である。北側の杉は根回り14.5メートル、樹高56メートル、南側の杉は根回り20メートル、樹高は60メートルもある。間違いなく日本一の兄弟杉である。南側の杉の根元近くに板根状の突起が3個所ある。少し傾いた杉を支えるために植物本能が働いているのだろう。
  兄弟杉の前に立つと、鹿児島県蒲生町の大クスを髣髴とさせる興奮を覚える。杉周りの通路を囲いの外側に設けるなど、樹木の保護に細心の注意が払われているが、樹皮の治療痕が痛々しくみえる。
  大杉は神格を得て太いしめ縄が張ってある。大願成就、家運隆盛、夫婦和合など大杉に願掛けする人も多く、美空ひばりも駆け出しのころ、日本一の歌手になるべく大杉に額づき祈願したとのことである。
久礼の大正市場-中土佐町久礼-
 久礼湾がゆったりと深い弧を描き、土佐の大海に口を開いている。湾沖に浮かぶ2島は双名島。折からの小雨に煙って見える。鳥居のように立つ二島は、さしづめ久礼八幡社の一の鳥居であろう。八幡社の秋の「おみこんさん」は、土佐三大祭に数えられる大祭である。
  今日は久礼のかつお祭り。八幡社の境内に出店が並び、門前はカツオやマグロがまな板に載り、千畳ほどもあるテント広場で食事を楽しむ人々で賑わっている。 久礼は土佐一本釣りの本場である。マグロのカブト焼きなどが無料で振舞われている。心意気も豪快である。
  八幡社近くの久礼の中心街に大正市場がある。通りとおりに鮮魚店が軒を連ね、遠来の観光客などで賑わっている。鮮魚店が集中する大正市場は、昨年リニューアルした商店街。店先の巨大なシイラなどを眺めていると、さすが庭先が太平洋であることを意識させる。「正月三が日とシケの日を除いて年中無休。家族の者が釣ってきた魚を午後から店に並べています。」と店のおかみさん。
  久礼はまた、市街に昔日の港町の面影が残る町である。通りに昭和初期の商家や民家が軒を連ねてる。久礼はまた、湾に出没する朝日、夕日の美しいところである。ダルマ夕日が出現する日もあるという。-平成16年5月16日−