久礼湾がゆったりと深い弧を描き、土佐の大海に口を開いている。湾沖に浮かぶ2島は双名島。折からの小雨に煙って見える。鳥居のように立つ二島は、さしづめ久礼八幡社の一の鳥居であろう。八幡社の秋の「おみこんさん」は、土佐三大祭に数えられる大祭である。
今日は久礼のかつお祭り。八幡社の境内に出店が並び、門前はカツオやマグロがまな板に載り、千畳ほどもあるテント広場で食事を楽しむ人々で賑わっている。
久礼は土佐一本釣りの本場である。マグロのカブト焼きなどが無料で振舞われている。心意気も豪快である。
八幡社近くの久礼の中心街に大正市場がある。通りとおりに鮮魚店が軒を連ね、遠来の観光客などで賑わっている。鮮魚店が集中する大正市場は、昨年リニューアルした商店街。店先の巨大なシイラなどを眺めていると、さすが庭先が太平洋であることを意識させる。「正月三が日とシケの日を除いて年中無休。家族の者が釣ってきた魚を午後から店に並べています。」と店のおかみさん。
久礼はまた、市街に昔日の港町の面影が残る町である。通りに昭和初期の商家や民家が軒を連ねてる。久礼はまた、湾に出没する朝日、夕日の美しいところである。ダルマ夕日が出現する日もあるという。-平成16年5月16日− |