川之江城―四国中央市川之江町―
  平成16年4月、川之江市は市町村合併により「四国中央市」として再出発をした。市の北は瀬戸内海(燧灘)、南は要害をなす山岳地帯。地理的に四国のほぼ中央に位置し、陸海の交通の要衝を占める川之江。製紙業や醸造業(酒造)など重量物(原料や製品)の搬送にすこぶる地の利がある。金生町の一角では酒造会社が盛業中。新旧、特異な顔を見せる町である。
  海岸端の丘に建つ城山は兵どもが夢の跡。河野、細川、小早川、福島、池田、小川、加藤と目まぐるしく領主が交替し、寛永19(1642)年、嫡子のいなかった加藤氏は終に領地を没収され、幕府の直轄領とされた。たび重なる戦乱もまた川之江が交通の要衝地にある所以からであろう。
  昭和61年、川之江の人々は、廃城になって久しい城山城址に天守閣を築いた。3層4階の天主は川之江の夢の城。まばゆいばかりの白壁が瀬戸内海の海と青い空によく映える。涼櫓、櫓門など公園施設が順次整備され四国中央で燦然と輝く城である。―平成16年8月―