ランプロファイヤ岩脈−東かがわ市白鳥
 白鳥の鹿浦越岬(かぶらごしみさき)は、小松原海岸の東端にある岬。バベ(ウバメガシ)の純林が岬を覆う。岬周りに世界的にもたぐい希なランプロファイヤ岩脈((写真左))が露出する。 岬は、稜線が複雑に入り込む地形。遊歩道が整備され、要所、要所に展望所が設けられ、播磨灘のパノラマを見ることができる。
 展望所の北で双子島、一子島が紺碧の水盤に浮かぶ。この島もランプロファイヤ岩脈が露出する島。力強く海上から頭をもたげる双子島は、白鳥の立神。同社の一の鳥居であろう。
 見晴らしのよい岬の丘は、藩政期における国防上の重要拠点であった。藩遠見番所や狼煙場が設けられ、播磨灘から瀬戸内海に侵入する黒船などの監視に当たったところだ。丘に狼煙場の跡がある。
 ランプロファイヤ岩脈は、中崎の眼下にある。干潮時には、岬の海岸線伝いに歩くとまぢかに見ることができる。岩脈は白黒の岩石が幾条もの縞模様を織り成し、黒色の岩石がランプロファイヤ(煌班石)、白色の岩石は花崗岩である。岩脈は、花崗岩の板状摂理の隙間にランプロファイヤが入り込み、冷え固まったもの。岩盤は50〜60度に傾斜。幅2メートルを越えるランプロファイヤの岩脈は見事である。ランプロファイヤ壮大な讃岐の地殻変動の記憶。岩脈近くで、剥がれ落ちた白黒の岩石が海岸を埋めている。
  県下のランプロファイヤ岩脈でこれほどの規模をもつものは稀有である。岬の北端に龍ヶ鼻という断崖がある。幅約50メートル、海蝕によって蜂の巣状になった花崗岩の断崖がある。奇観である。
  波静かな日、岬周りに漁船が一艘、手際よく刺し網を入れ、港に戻っていく。岬周りのランプロファイヤの岩礁が好魚場をつくり出しているのだろう。−平成16年6月−