瀬戸内海絶唱(備讃瀬戸)−高松市−
  高松市の西部に勝賀山(標高364メートル)という台形をした山がある。中世の中讃地方を三百数十年にわたり支配した香西氏が山城を築いた天嶮の要害である。山麓一帯は、広大なみかん、びわの果樹園。讃岐温州みかんの主産地。幹線農道が通る園地の北側に瀬戸内海をのぞむことができ、備讃瀬戸の景勝地。
  晴天の日、高松市街が備讃瀬戸の青く澄んだスクリーンにきらきらと輝いている。スクリーンの右端で細く長い屋根を瀬戸の水盤に架ける屋島。左端に直島、男木島(おぎじま)が迫り、細く尖った女木島(めぎじま)が屋島に対峙する。その間隙の海原でまどろむ小島は大島、兜島。二島の背後で小豆島がうっすらと巨体を横たえ、その左方に豊島(てしま)を従える。フェリーがゆっくりとスクリーンをよぎって往く。−平成16年1月−