屏風ヶ浦-仲多度郡多度津町-
  弘法の生まれ給ひしところとて屏風がうらを立てまほしたり
                 <「金草鞋」 十返舎一九>
屏風ヶ浦
屏風ヶ浦
海岸寺 熊手八幡宮
 多度津の市街を抜け県道に沿って豊浜方面に向うと広田川の橋にさしかかる。山が海に迫り、右手に瀬戸内海をみながらしばらく断崖沿いの道を進むと、県道とJR予讃線が交差するところがある。この辺りが屏風ヶ浦の最大の難所。崖下に白波がはじけている。
  広田川河口の西側一帯の海岸は公園になっていて、この辺りが屏風ヶ浦。松林の中に海岸寺の本坊がある。屏風ヶ浦は弘法太子の生誕地説がある。
  海岸寺の南側は、小高い丘陵地帯になっていて、奥の院の堂宇が建ち並ぶ。眼下に屏風ヶ浦がひろがる眺望のよいところである。東から西に向かって、讃岐広島、高見島、志々島、粟島の塩飽諸島の島々が配置よく水盤に浮かんでいる。絵のような風景のなかをフェリーや貨物船が行き交っている。
高見島遠景
奥の院の堂宇周りで梅の花がほころび始め、小鳥のさえずりがきこえる。
  海岸寺の東200bのところに熊手八幡宮がある。大きな随身門をくぐると、広い境内に立派な拝殿がある。社は、弘法大師の氏神と伝えられる古社である。随身門に15世紀に氏子が奉献した戦国時代の高麗犬一対がまつられている。ふだん見慣れた狛犬とは様子が異なり、大陸的な雰囲気のする狛犬である−平成17年2月−