北灘の魚霊塔-鳴門市北灘町-
瀬戸内海環境保全特別措置法第1条 
  ・・・瀬戸内海の環境の保全に関する計画の策定等に関し、必用な事項を定めるとともに、特定施設の設置の規制、富栄養化による被害の発生の防止、自然海浜の保全等に関し特別の措置を講ずることにより、瀬戸内海の環境の保全を図ることを目的とする。
 
 昭和48年10月、瀬戸内海環境保全特別措置法が制定され、富栄養化による被害の発生の防止など瀬戸内海の環境の保全が高らかに宣言された。法制定の前年、播磨灘に赤潮が発生し、鳴門市北灘の養殖ハマチ350万尾が死滅するという未曾有の惨事となった。北灘の漁民は訴訟団を結成し、昭和50年1月、企業、国等を相手取り赤潮被害による損害賠償を徳島地裁に提訴。
北灘 魚霊塔  同じ頃、隣町の香川県引田町の漁民も高松地裁に賠償を求めて提訴。高松地裁で合併審理が続けられ、昭和60年9月、和解が成立した。この和解の経緯について、北灘の国道11号線脇に建てられた記念碑(碑文)に次のように刻まれている。
(碑文)
  ・・・瀬戸内法に基づく規制や指導によって、国や自治体は勿論、企業の汚染物質に対する法規制も進み昭和60年9月、被告企業も企業責任を認め海域浄化への努力を約束したので、大乗的見地に立って和解した。・・・  平成7年7月吉日 北灘赤潮訴訟団 北灘漁業協同組合
  碑文の脇に魚霊塔が建ち、観音像が播磨灘を見守っておられる(写真左上)。魚族の水質への反応は敏感である。魚族は、高度成長期における海洋の環境悪化を、その身をもって私たちに教えたのである。瀬戸内海は、いまハマチやタイ、ヒラメなどの海の牧場となり養殖筏が浮かぶ海。いつまでも安全で美しい海であることを祈りたい。-平成16年11月-