西海の集落(武者泊)−西海町
 愛媛県の西海岸を宇和海に沿って南下すると、その最南端部に由良半島と西海(半島)に囲まれた内海が開けている。  造形の女神は、内海の湾奥に形よく窪んだ浦や岬を形成し、さらに西海(半島)の南に美しいリアス式海岸を造られた。南予の海は女神の微笑の海。
 西海町は半島の町である。西海(半島)の南海岸に「武者泊」という集落がある。御荘から乗合バスの便がある。バスは、半島のほぼ中央に聳える権現山(標高491メートル)周りの海岸線を右回りに走る。 半島の道は概して狭く、断崖が続く険しい道が続く。眼下に、ウバメガシが茂り、断崖の先にハマチや真珠の養殖筏が紺碧の海に浮かんでいる。西海町役場を過ぎ、樽見、福浦、麦の浦を過ぎ高床鼻を過ぎると、高床鼻と御立鼻との間隙に開けた浦に60戸ほどの人家が見える。武者泊である。   武者泊は、港口を東に向け、宇和海を背にして太平洋に開けた漁村である。平地の少ない集落の人々は、背後の山地を削り石垣を積み或いは擁壁によって平地を捻出し宅地にかえている。住区の上方に刻まれた道路から望む集落は、急斜面に築かれた楼閣のようにみえる。
  集落内の小路は、斜行又は螺旋状に造られ、傾斜を緩めながら浜に通じている。宅地脇の狭い庭に野菜や草木が植わり、のんびりとした温かな空間が集落を包んでいる。
  暖かい冬の日、甍越しに紺碧色した太平洋がきらきらと輝いてみえる。野地島、当木島などの諸島が太平洋にその麗姿を映している。.
    西海半島周りはグレ(メジナ)などの磯釣りのメッカ。民宿の多いところである。西海町役場近くからは、半潜水型の水中展望船の発着がある。