古鷹山の風景−江田島市(江田島)−
古鷹山遠望 江田島湾に無数のカキ筏が浮かぶ。江田島湾の北で、鷹が羽根を広げたかたちをして天に羽ばたく山は古鷹山(標高394b)。
 海から生えでた山は、ずいぶん高く感じられる。その山の麓はカキが育つ海。湾岸はカキロード。どこから見ても古鷹山は、養殖筏或いは湾岸の作業船の彼方に姿よくおさまっている。花崗岩がむき出しになり獄をなす山は力強くもみえ、江田島によく似合う。−平成18年7月−
 坂の町尾道−尾道市−
尾道 林芙美子、志賀直哉、中村健吉等々、尾道ゆかりの文人は多い。住宅地の坂道から眼下を眺めると、この町はほとんど平地がなく、山腹、山麓に住宅がへばりつき、寺が東西にひしめいている。
 応安3(1370)年、九州探題に任命された今川貞世は、下向の途中、「道ゆきぶり」を著し、室町時代の尾道について、「…ふもとにそいて家々ところせまく並びつつ網干すほどの庭だにも少なし…」と綴っている。
 以来、七、八百年、たぶん変らないであろう眼下の美しい海景が人の居住意欲を刺激し続けているのだろう。
 尾道水道は、天与の良港。諸国の廻船が寄港し、世羅郡甲山町など高野山の荘園で生産された米の積出港として倉が建ち並ぶ繁華なところだった。