久井の岩海−三原市久井町吉田−
久井の岩海 久井町の宇根山(699b)のいく筋もの谷に、土地の人々が‘ごうろ’とよぶ岩塊が散乱している。それは、城跡の高石垣が崩れ落ち、一見それを石畳様に並べたもののようにも見える。
 しかしこの岩塊、氷河期に移動してきたものではなく、塊状の大きな岩が気温の変化によって節理面などからはがれ、風化して丸みを帯びた岩石と説明されている。石は閃緑岩で直径1メートルから7メートルある。
 ぜにがめごうろ、なかごうろ、こごうろ、おおごうろと地上に露出したごうろは、長いものでは550メートル(幅65b)もある。それらのごうろが写真のように山腹に一大奇観を呈し、あずまや風の施設から眺めることができる。樹海に埋もれ岩海をなす‘ごうろ’も相当広範囲にわたっている。
 ごうろで埋まった山腹は、地味は痩せているのだろう、大方ヌリカエデやヌルデ、ホウノキなどの広葉樹の潅木林となっていて秋の紅葉もまた美しいものである。上下町矢野の一渓谷底(標高約450b)のこうもり岩は、長さ70メートルにおよぶものである。岩礫の厚さは7メートル以上にもなる。この岩流も岩海の一種である。−平成18年11月−