ホノホシ海岸-瀬戸内町-
ホノホシ海岸 ホノホシ海岸は、奄美大島本島の最南端に位置する海岸。太平洋の荒波をもろに受け、荒波が岩礁を砕き、海岸の一角に奇怪な岩と断崖を創造した。.波頭は高く、海底の岩石はごろごろと波に揉まれ、地上に音を伝える。
 海岸は、中ほどに岬があって二分されている。右側の入江は比較的穏やかであるが、左側の入江は荒々しい波に洗われている。「静」と「動」の対比もおもしろい。
 ホノホシ海岸の西側は波静かな入江。入江の入口に「やどり浜」が開けている。海がめの産卵地としても貴重な海岸である。

 マングローブ群生地−住用村−
マングローブ 奄美大島の東岸、住用川(スミヨウガワ)と役勝川(ヤクカチガワ)が合流する河口にマングローブの群生地が広がっている。面積71ヘクタール。北限のマングローブ群生地とされている。
 国道58号線の歩道上から河口を眺めると、一面にグリーンのじゅうたんを敷き詰めたようにマングローブが広がり、山が迫る。蛇行した河川は所々にワンドを形成し、カヌーを漕ぐ人影がみえる。雄大かつ箱庭的な美しさもある不思議な絶景といえる。
 住用川はリュウキュウアユの棲息地としてもよく知られたところ。沖縄ではすでに絶滅が伝えられており、大変貴重である。近くに「マングローブパーク」が整備され、リュウキュウアユが展示されている。リュウキュウアユは、本土のアユと比較してやや小型で背鰭、胸鰭等の形状が異なりまったく別の進化の道を辿ったのであるが、アユに馴染みのない人には両者の識別は困難。100万年の歳月をもってしても種の変化はそれほど遅々としている。いったいに、アマミの動物は本土産と比較して小型のものが多い。キジバトからカラスに至るまでみな本土のものより一回り小さい。

 曽津高崎−瀬戸内町−
曽津高崎 曽津高崎(ソッコウザキ)は、奄美大島本島の最西端の岬である。岬の先端に灯台が建つ。
 岬は、瀬戸内町の西古見集落から約7キロほどのところにある。道路の崩壊によって途中で通行止めになっていて灯台にはたどりつけないのであるが、岬近くに見晴らしのよい展望所が設けられている。
 灯台の下は100メートルほどの断崖。磯場には大小の岩がかたちよく並んでいる。猫の額ほどの断崖の窪地に、米粒大の野ヤギの姿がみえる。雄大かつ神々しさのある絶景である。
 しかしまた、灯台にはいつも秘話がつきまとう悲しさがある。この岬の灯台もまた例外ではなかった。断崖をえぐりとり造った風当たりの強い小道の行き帰りは、大人でも難渋画像−曽津高崎2し、いつも奈落と背中合わせであったに違いない。灯台守夫妻は、延々7キロのそま道を歩き西古見小学校に通った子供の安否を案じない日はなかったであろう。集落の人々もまた、灯台守親子の辛い思いを共有していたに違いない。展望所に立てられた町の案内板にその証が滲んでいる。
 展望所から少し戻り眼を南方に転ずると、大島海峡の入口付近に海中から生えでた島が三つ連なっている。背後に加計呂麻島(カケロマジマ)が霞んでみえる。ここにもまた甲乙つけがたい雄大な絶景がある。−平成15年−