滋賀
石山寺−大津市石山寺−
 石山寺は、瀬田川の右岸、硅灰石の大岩塊が露出する山岳に立地し、寺名の由来となった。聖武天皇の勅願により、良弁僧正によって天平勝宝元(749)年に開かれた。本尊は金銅の如意輪観世音菩薩。天皇即位の初暦などに開扉される勅封のみ仏である。
 本堂は藤原時代の総桧皮葺の舞台造り。礼堂と相の間にの構成が美しい。紫式部が参籠し、源氏物語を執筆したと伝えられ、一曲の窓を開く間がある。平安時代、寺は朝野の崇敬を得て、石山詣が習俗となるほどに栄えた。
 本堂の源氏の間の前を通り、高台に向かうと多宝塔(写真上)がある。上下両層とも桧皮葺。高さ17.2メートル。鎌倉初期の塔で、塔内に大日如来を安置。日本の多宝塔中の白眉。
 多宝塔の前を通り見晴らしの良い高台に立つと、月見亭がある。瀬田川が指呼の間にある。
 石山寺は近江八景のひとつ、月の名所としてきこえたところ。瀬田川の対岸の山の端からでる仲秋の名月よし。また夕映えに染まる長橋の景観も捨てがたい。−平成19年9月−

多宝塔 多宝塔と大岩塊
(硅灰石)
本堂
参考 :瑠璃光寺の五重塔 百済寺の塔  向山寺三重塔 吉備国分寺の五重塔 海住山の五重塔 薬師寺の塔