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奈良
宇陀高原の初夏(スズラン、カザグルマ)−宇陀市等−
スズラン
(宇陀郡室生村向渕)
キショウブ
(宇陀市平尾)
カザグルマ
(宇陀市大宇陀区)
 奈良盆地の東部に標高400〜500メートの準平原が南北に広がる。高原はなだらかな山地をなし、暖地性、寒地性の植物が交錯するところ。
 初夏の頃、高原を訪れる。宇陀市大宇陀区小附の辻本家の山地では自生のカザグルマが薄紫の大輪の花を咲かせ、雑木に身を絡ませている(写真左下)。
 カザグルマは、九州や四国の南部地域に自生するつる性多年草(キンポウゲ科)。個体差があるが花びらに見えるのはガク。8枚のものが多い。まれに白色のものもあるが普通は淡紫色である。
 高原が続くの室生村向渕の山裾や都祁吐山町ではスズランが満開を迎えた。
鈴蘭のうつむき咲ける香りかな <龍男>
 スズランはランの名がつくもののユリ科の植物。葉の蔭で小さな花がすずなりになり寄り添う様はなんともほほえましいものだ。
 宇陀高原は、カザグルマの北限地、スズランの南限といわれる。宇多川の岸辺ではヨーロッパ原産のキショウブが咲いている。外来植物であるが水辺によくなじみ、明るく宇陀高原の初夏によく似合う。
 水田では、いっせいに田植が始まった。入梅前の農家の1年で最も忙しい季節を迎えている。−平成20年5月−