奈良
スズラン−宇陀市室生区向淵、奈良市都祁吐山町−
スズラン(奈良市都祁吐山町) 田植が終わり、田の草が浮き始めるころ、額井岳の北東山麓でスズランが咲き始めた。
 室生の向淵、都祁の吐山。杉林の間隙でスズランが群落を成す。
 スズランは高山や東北部の平地に咲く寒冷地の花というイメージ。当地のスズランは南限地。宇陀高原のひんやりとした気候がスズランの生息に良いのだろう。
 スズランは1本の花茎に花序をなし、白く小さな鐘状の花を咲かせる。花の先は6裂し、芳香がある。なんとも可愛らしい花。開花は向淵より吐山のそれが若干遅いようである。暗幽とした吐山の環境がスズランの開花期に影響を与えているものか。スズランの自生地は地元の人々によって手厚く管理されている。
 宇陀高原はまた、カザクルマが自生するところ。花期はスズランと同様に5月ころ。カザクルマは四国、九州など温暖な気候を好む植物。当地はカザグルマの北限地。南限地のスズランと同居する不思議がまた、この高原の魅力だろう。−平成22年5月−

カザクルマ 宇陀市大宇陀区(平成20年撮影)