奈良
霊山寺の塔−奈良市中町−
霊山寺三重塔 奈良市の西郊に霊山寺という名刹がある。寺の草創は詳らかでないが、鳥見庄預所下知状(正嘉2年)に‘当寺者、行基菩薩為済生利物所草創道場也’とみえ、これが霊山寺の草創記の初出であろう。続記によれば畿内に行基建立の道場が49処あったと伝えられ、そのひとつである富美院を霊山寺に当て、婆羅門僧遷那と行基がともに創建した寺と伝えており、聖武天皇の勅願所であった。寺の境内に遷那の墓がある。
 広い境内に堂塔伽藍が建ち並ぶ。古仏や本堂、三重塔、鐘楼、龍王殿など見るべき古建築も多い寺である。
 境内の高所に建つ三重塔(写真上)は、14世紀中葉ころの建立であろうか。桧皮葺の屋根の曲線が美しい塔である。