京都
野菊の道−綾部市−
ヨメナ<拡大
(撮影地:綾部市)
 イチゲ、ナノハナ、ヒガンバナ、リンドウ、ヨメナ・・・郷愁の草花はもはや故郷で観ることは少なくなった。京都の北辺或いは南辺、はたまた中国地方や四国にまで出かけ、その自生地を求めてさまようのも、微かな生への執着かもしれない。生きることへの執着は郷愁というその人しか感じ得ない情感を通じ、甦りまた、明日への糧となりうるのだ。
 野菊もまた郷愁の花。歌や小説の題材にもなる野菊。野菊はヨメナ、或いはノコンギクこそ野菊であるべきだなどと、野菊へのこだわりは即、その人の郷愁のありようを示しているようにも思われる。しかし、関西にあって関東に分布しないものを野菊と呼ぶには抵抗もある。逆もまた真なりであるが、野菊は人それぞれの野菊であってよい。
 家路の小路にヨメナを観たものはヨメナが野菊であってよい。奥丹波に多いヤマシロヨメナを野菊と呼ぶ者もいるだろう。或いはイナカギクとの交雑種を野菊と呼んでもよい。故郷の数だけ野菊はあってよい。−平成24年11月−
ヤマシロギク
(撮影地:綾部市)