京都
なでしこ(撫子)の風景−綾部市、福知山市−
撫子や雨なき里の盆休み <閑山>
なでしこ(撫子)の花 ”なでしこ”の花が咲く季節になった。8月のころ肌に初秋の風を微かに感じはじめるころ、なでしこはつぼみをつけ奥丹波の山際や野辺でひっそりと咲く。このなでしこの愛らしさは女性や、女性の異性への愛を表す花として万葉集などにも歌われた。里人とつかず離れず咲くところはササユリとよく似ている。
 なでしこは先の大戦前、全国どこの農山村でもごく普通に見ることのできる花だった。近年では、農山村の生活環境の変化などによりその生息域を狭め、群落を見ることはほとんどなくなった。私も40年ほど前、大和の宇多の里山でなでしこの大群落を見て以来、西日本でその群落をみていない。
 京都府下では山城の野殿(南山城村)や奥丹波の岼 (福知山市三和町)、大畠(綾部市)などへ"なでしこ探し"によく出かけたものであるが近年、これら地域でもその分布は狭まりつつある。
 じりじりと太陽が照りつける日、大畠を訪れた。山路でなでしこの小群落をみつけた(写真。背景とも)。なんだかうれしくなるもの加齢のせいだけでもないだろう。−平成24年8月−