京都
京の街角(アジサイ(補陀洛山観音寺))−福知山市観音寺−
 七変化補陀洛山ふだらくさんの小雨かな <閑山>

 丹波に補陀洛山観音寺という古刹がある。観音堂(本堂)周りや七観音巡りの参道などにアジサイが植わり、境内のアジサイは1万本とも。梅雨空に露を含んだアジサイが美しい。
 同寺の納経所となっている塔頭の脇に庭がある。アジサイの大刈り込みをしつらえた庭観音寺塔頭(納経所)アジサイ庭園遠望で、青、白、紫のアジサイなどそれぞれに風情がある。塔頭の窓ガラスに映ったアジサイ(写真上)など眺めていると、一双の屏風画を眺めているようで、いつまでもこの寺を去り難い気持ちになる。本当に美しいものだ。
 花の色は土壌中のpH(ペーハー)や品種の異同によって異なるが、酸性土壌では最初は青、時間の経過とともに赤みを帯びる。花の色が変化することから「七変化」、「八仙花」の別称も。
 補陀洛山観音寺は関西花の寺25ヶ所霊場中、第1番霊場。秋の紅葉に風情がある。住職の法話にも定評がある。−平成24年6月−

 補陀洛山観音寺の創建は養老4(720)年、中国僧法道仙人の開基。奥丹波は古くから開けた土地。室尾谷山観音寺(和銅7(714)年創建。福知山市大江町)や塩岳山楞厳寺りょうごんじ(天平年中創建。綾部市舘町)などの古刹がある。特に、阿日山仏南寺(綾部市里町)はその創建すらわからず、貞観5(863)年に丹波国司の調査を受けたことが三大実録にみえる。この寺の近くに聖塚古墳があり、寺の前身を大領(県主)の氏寺と考えてみる必要もあろう。このほか奥丹波には岩王寺(綾部市七百石町)など平安時代創建の寺もあり、汲めど尽きない歴史が埋もれている。