京都
西願寺のしだれ桜−京都府相楽郡和束町湯船岩倉−
 木津川の支流、和束川の上流に「湯船」という戸数100戸余の集落がある。
 令和5年3月31日、よく晴れた日、川の土手でもうニリンソウのつぼみがうっすら色づき、眼下の川面をひとひらまたひとひら、さざ波に戯れつつ桜の花びらが下ってゆく。
 見上げるとひと際高い河岸の山の端に、桜の大木が腹ばい花房を垂れている。この花は、西願寺のしだれ桜。目通し約3メートル。境内で200年間咲き続け、湯船の村人を癒しまた大和に上り、信楽・伊賀に下る旅人の目を楽しませてきたことであろう。 
 いったいに和束川の河岸は、上下流を問わず桜並木が連なり、春の到来をしらせてくれる。華やいでまたなにか物思いをするのにもよい雰囲気がある。−令和5年3月31日−