京都
和束の茶畑−京都府相楽郡和束町−
 木津川の支流和束川の流域に、和束町という人口5,000人ほどの町がある。茶の湯の発展とともに、宇治茶の名声がきこえるようになると、宇治田原、木津、丹波が宇治茶の主産地を成し、和束は煎茶どころとして知られるようになった。煎茶の生産量は京都府下で第1位。近年、「和束茶」のブランドで有名になった。
 町の幹線道路から四周を見渡すと、手入れの行き届いた見事な茶畑が山麓を埋める。山裾から次第に傾斜を増し、茶畑は天に至る。
 9月中旬にもなると早稲田の稲が黄金に色づき、グリーンの茶畑とのコントラストもよく、品のよい絵画を見るようである。和束の町が最も美しい時期である。
 5月、ゴールデンウイークのころ1番茶の出荷が始まる。2番茶、3番茶、4番茶と回を重ね茶の1年が暮れる。春夏秋冬、煎茶の楽しみ方がある。わが国に茶の栽培と喫茶の風を伝えたかの栄西禅師も夏季の「水出し茶」までは想像しなかったことであろう。茶に氷をのせ、自然解氷させた水出しのお茶は美味しいものである。