仁王の叫び(津友寺跡)-吉田町
津友寺跡 仁王 吉田町の県道脇に仁王像の胸部が二体、草叢に隠れてある。夜間、月明かりに照らされた仁王に遭遇すれば、たいがいの人は腰を抜かしそうな形相で、地面からぬーと巨大な頭部が生え出ている。
 仁王は、明るい春の陽を浴び、ややうつむき加減にまぶしそうにしておられる。鋭く粗く彫られた目鼻などはなかなか写実的で迫力がある。一流の仏師の手によるものなのだろう。狭い草叢の空間に何ともいえない凛とした空気が漂ういい風景がある。
  仁王が祀られているところは薩摩藩の曹洞宗三大佛寺の一つ、津友寺(しんゆうじ)跡。仁王はもともと津友寺の参道に置かれていたものらしい。廃仏毀釈によって破壊されたものであろう。仁王の後ろの民家の庭先で桜が満開。供花を持参しなかった。横着をして仁王さんには申し訳ないが、撮らせていただいた写真の桜を献じ花見をしていただこう。