松林の夢跡−天保山公園−鹿児島市
天保山公園 鹿児島市街の中央を流れる甲突川(こうつきがわ)。河口の右岸に天保山公園がある。こじんまりとした公園は、薩摩の歴史を映す夢跡。
 甲突川沿いに開けた鹿児島市街は、姶良カルデラの外壁部に立地する都市である。土質はシラス。市街の拡大にともなって河口に堆積する土砂の排除がいつも治水上の課題であった。繰り返し繰り返し河口に溜まる土砂を排除して、甲突川の右岸に積み上げた結果、やがて大きな築山となり、天保山と呼ばれるようになった。天王山はまた、軍事上、市街防衛の要衝でもあった。幕末には砲台が設けられていたところ。
 近年、甲突川の治水も進み、天保山の一角に公園が整備された。市民にささやかな憩いの場が提供された。吹き抜ける浜風に松の枝が微かにそよぎ、ハトが舞う。平和を映すいい風景がある。