九州絶佳選
福岡
津屋崎の風景−福津市津屋崎−
 福津市の最北部に津屋崎という古代から栄えた港町がある。宮地嶽神社は全国の同名社の総本社。拝殿の注連縄は日本一太いもの。
 渡半島と津屋崎本土の間隙に細長く伸びた津屋崎漁港は天然の良港。藩政期には勝浦塩田などの塩や米などを満載したイサバ船(五十集船)が行き交い、港町は津屋崎千軒といわれ大いに栄えた。西鉄津屋崎駅の西側市街の一角に商家の町並みが残っている(写真右上)。木造二階建ての旧上妻邸は格子戸と漆喰を塗り込めた大壁の美しい町屋造りの紺屋住宅。今は「津屋崎千軒民俗館」になっていて、津屋崎の町並み散策の入口となっている。宮地嶽神社辺りには桟瓦葺の木造三階建ての旅館(大阪屋、写真右下)がある。このクラスの大きな木造三階建て住宅は、唐津の竹屋を思わせる。
 津屋崎はまた海岸線の美しいところ。町の南北に広がる海岸線は夏季の海水浴場。渡半島の恋の浦はアカウミガメの産卵地として知られたところ。6月のころ、ハマヒルガオガが浜の片隅で咲き始める。半島の先端部(南端)は大峰山(標高114b)。東郷公園になっていて、玄界灘を望む絶景地である。山麓に東郷元帥を祭った東郷神社がある。
 東郷公園を下ると漁港をまたぐ津屋崎橋が架かり、津屋崎本土に通じている。玄海の太陽を浴び、港周りを散策するものよいものである。干物が風に揺れ、漁船が行き交う風景がある。 
恋の浦海岸 津屋崎漁港