九州絶佳選
福岡
龍国寺−二丈町波呂−
 二丈町の波呂に龍国寺という名刹がある。地蔵(687b)山麓の静かな集落の外れに寺はある。水路の流れる坂道から石段を上り山門をくぐると境内。イヌマキの巨木が数本あり、境内に影を落としている。地蔵堂、経蔵堂などがある。
 龍国寺は、西暦1203年(建仁3年)、平清盛の長子・平重盛の慰霊のため高祖城主・原田種直が極楽寺を創建したことに始まるといわれ、将軍・足利義満が伽藍、仏像を造立し、また1574年(天正12年)には、原田高種がその子・親種の菩提のため寺を再興しその際、寺の名を龍国寺に改めたといわれる。木造阿難尊者は室町時代の作。裏山の鉄肝園は江戸時代の作庭。
 創建者の重盛には内室及び遺児がいて、龍国寺からさらに山間部に入った唐原の里に隠れ住み、原田氏の庇護を受けたが、源氏の追手に殺されたと伝えられている。母子の墓が唐原に残っている。